モーションポスター
グラフィックデザイン
モーショングラフィックス
エディトリアルデザイン
水生生物の生態を活かしたモーションポスター作品
モーションポスター作品「ecolomotion」
2020.05〜2021.03
卒業制作
After Effects
Illustrator
Premiere Pro
Photoshop
作品本体
コンセプト
 「ecolomotion」は水生生物の生態や動きを活かしたモーションポスター作品です。水族館で生物を鑑賞する際、その特徴的な見た目や美しい色彩に目を奪われがちですが、水生生物の魅力はそれだけではありません。実は様々な面白い生態があるのです。しかし、産卵時等の特別な状況下でしか見られない生態や、深海生物などの水族館では飼育ができない生物の生態を観察することは非常に難しいです。そのため、今まで水生生物の生態に興味がなかった人に興味を持ってもらうにはハードルが高いと感じました。そこで、興味を持つきっかけを作るために、水生生物の面白い生態を目を引く色鮮やかなモーションポスター表現に落とし込みました。

 制作にあたっては、水生生物についての論文や書籍や映像で生態を調査し、生物学的観点からの解釈 に基づきつつも、鑑賞者に美しいと感じさせられるようなグラフィック的表現を目指しました。また、生態や動きの特徴 を強調するために、単純化した形状であっても生き物らしさを感じさせられるよう、アニマシー知覚の3要素に基づいて制作を行っています。大きなモニターで再生することを想定した作品であるため、デジタルサイネージなどへの応用も考えられます。
解説動画
Re-edited version
展示定点映像
ポスター表現
   この作品におけるモーションポスター表現とは、ポスターの中身の要素を構成が崩れない程度に動かした様な表現です。多様な生態をまとめて見られること、密度が高く目を引くこと、生物のゆったりとした動きをそのまま再現できること、動画の尺が 比較的短く、視聴のハードルを下げられることなどから、この様な表現で制作しました。また、よりポスター感を出す試みの一 環として、デジタルな映像というメディアの中で紙特有の表現を加えることで、デジタルと紙のデザインの融合に挑戦しました。
工夫点
・生物の動き自体をモーショングラフィックスにした部分と、生態を図解したようなモーションをつけた部分を織り交ぜています。

・大型モニターで再生する想定のため、大きな画面であってもスカスカに見えたり大味な印象にならないよう、要素の多いポスターをイメージして制作しました。

・生物の泳ぎ方などをモチーフにする部分は、速度も注意深く観察して反映しました。逆に全体の動きにリズムを出すため、生態を図解したような部分の動きは規則的な動きにして差別化しました。

・紙のポスターと違いモニター上で映し出すため、文字の可読性に注意し、同じサイズでプリントデザインをするときよりも、文字をひと回り大きく、線の太さや文字のウェイトを太めにすることを意識しました。

・明暗差をしっかりつけるとともに、彩度の高い色を使用し、遠目からでも目を引くような配色を目指しました。

・鑑賞者が「何かわからないけど綺麗」→解説を読む→「なるほどこれはこういうことなのか」という流れで生態について知ってもらうことを想定し、説明されればすぐに理解できるが、ぱっと見ではなんとなくしかわからないくらいの抽象度、簡略度を狙いました。

・紙のポスターでは出しにくいビビットな色を使用し、RGBが使えるデジタルの利点を活かした配色を行いました。各パートの色数は主に4色で、ライトカラーだけ同じ色を使用することで、全体の統一感を出しました。
水生生物とは
水生生物とは、水中または水辺で生活する生物の総称です。「ecolomotion」の作品内にはカエルやカメなどの陸で生活する種も含む生物もいますが、基本的に水生の種類の生態をモチーフにしています。(比較のために陸生種を載せている場合もあります。) 種類によっては「生物分類学の分類では厳密にはこの生物よりこの生物の方が近い」という場合もあります が、初心者・一般向けであることや境界線の難しさから、ecolomotion では基本的に和名から分類を行っています。
卒業制作展では所属学科の卒展サイトの
制作も担当しました